
東大阪で工場を借りたい経営者、あるいは保有工場の賃料設定に悩むオーナーが最初にぶつかる壁は、「相場が分からない」ことです。募集賃料はネットに並んでいても、実際に成約した価格は表に出てきません。判断材料が募集価格だけだと、借り手は高値を掴み、オーナーは機会損失を出します。
本記事は、にっぽん倉庫が独自集計したREINS(不動産流通標準情報システム)の関西成約データをもとに、東大阪の貸し工場・賃料相場を実数で示します。結論から言えば、東大阪の工場賃料は成約83件ベースで中央値・坪5,414円/月。近隣の八尾市より高く、門真市・尼崎市より低い、関西の工場マーケットの「基準点」に位置します。想定読者は、①東大阪で工場を借りたい経営者、②保有工場の賃料を見直したいオーナー、③関西の産業用不動産を調べている投資家です。以下、データの読み方まで踏み込んで解説します。
まず東大阪市単体の集計値です。数値はすべてREINS成約ベースの坪単価(月額・円/坪)と成約件数です。
| 種別 | 成約件数(価格有) | 中央値(円/坪) | 平均値(円/坪) | 中央値面積 | 直近3年中央値 | 最多用途地域 |
|—|—|—|—|—|—|—|
| 貸し工場 | 83件 | 5,414 | 5,554 | 79.0㎡(約23.9坪) | 5,414 | 準工業地域 |
| 貸し倉庫 | 136件 | 5,159 | 5,607 | 108.5㎡(約32.8坪) | 5,159 | 準工業地域 |
読み取りのポイントは3つです。第一に、工場は倉庫より坪単価が約5%高い(5,414円 対 5,159円)。設備・電源・排水などの付帯価値が坪単価に乗っているためと考えられます。第二に、工場の中央値面積は約24坪と小ぶりで、東大阪は中小規模の町工場需要が厚いことを示します。第三に、全期間中央値と直近3年中央値がともに5,414円で一致しており、相場は横ばいで安定しています。
参考までに、中央値坪単価×中央値面積で試算した「典型的な東大阪の貸し工場」の月額賃料は約12.9万円(5,414円×23.9坪)です。これはあくまで中央値同士を掛けた目安であり、個別物件は面積・築年・接道で大きく振れます。
本記事の数値は、にっぽん倉庫が保有・集計する以下のデータに基づきます。
– area_master_kansai_v1.csv:関西97市区町村のREINS成約集計マスター(市区町村別の中央値・平均値・件数・最多用途地域・信頼度グレードを収録)
– reins_kansai_seiyaku_combined.csv:関西の賃貸成約1,994件の生データ
集計対象は貸し工場・貸し倉庫の賃貸成約で、坪単価は月額賃料を坪面積で割った値です。ランキングには成約件数(価格有)が10件以上のエリアのみを採用し、サンプル数が少なく統計的にぶれやすいエリアは除外しています。東大阪市は工場83件・倉庫136件と関西最大級のサンプルを持ち、信頼度グレードはAです。なお面積の㎡→坪換算は1坪=3.30578㎡で計算しています。数値は成約実績であり、募集賃料(売り希望額)とは異なる点にご留意ください。
成約件数10件以上の主要エリアで、貸し工場の中央値坪単価を高い順に並べました。
| 順位 | エリア | 中央値(円/坪) | 成約件数 | 最多用途地域 |
|—|—|—|—|—|
| 1 | 門真市 | 8,172 | 14件 | 準工業地域 |
| 2 | 尼崎市 | 7,183 | 12件 | 準工業地域 |
| 3 | 大阪市西淀川区 | 6,780 | 12件 | 工業地域 |
| 4 | 大阪市平野区 | 5,850 | 26件 | 準工業地域 |
| 5 | 東大阪市 | 5,414 | 83件 | 準工業地域 |
| 6 | 八尾市 | 4,984 | 39件 | 準工業地域 |
| 7 | 堺市 | 4,554 | 10件 | 準工業地域 |
| 8 | 大阪市生野区 | 4,383 | 17件 | 準工業地域 |
安い順に見れば、生野区(4,383円)・堺市(4,554円)・八尾市(4,984円)が坪5,000円を下回るコスト優位エリアです。東大阪の貸し工場・賃料相場(5,414円)は、この8エリアのちょうど中位に位置し、賃料水準と物件供給量のバランスが取れた「探しやすいマーケット」だと言えます。
成約件数の多い順では、東大阪市(83件)が突出し、八尾市(39件)、平野区(26件)、生野区(17件)と続きます。件数が多いほど比較検討できる物件が多く、借り手にとって選択肢が豊富、オーナーにとって成約回転が速いことを意味します。
同じエリアでも、倉庫と工場では坪単価が異なります。主要8エリアの倉庫・工場中央値を並べます。
| エリア | 貸し倉庫(円/坪) | 貸し工場(円/坪) | 差(工場−倉庫) |
|—|—|—|—|
| 門真市 | 5,510 | 8,172 | +2,662 |
| 尼崎市 | 5,895 | 7,183 | +1,288 |
| 大阪市西淀川区 | 6,032 | 6,780 | +748 |
| 大阪市平野区 | 5,538 | 5,850 | +312 |
| 東大阪市 | 5,159 | 5,414 | +255 |
| 八尾市 | 4,852 | 4,984 | +132 |
| 大阪市生野区 | 5,215 | 4,383 | −832 |
| 堺市 | 5,432 | 4,554 | −878 |
多くのエリアで工場が倉庫を上回りますが、生野区・堺市では逆転し倉庫のほうが高くなっています。工場は電源容量・天井高・排水・排煙といった設備要件が価格を押し上げる一方、汎用性の高い倉庫のほうが借り手母数が広く、立地次第では倉庫が上回るためです。東大阪は工場が倉庫を+255円上回る「工場プレミアムが穏やかなエリア」で、借り手にとって工場を過度に高値掴みしにくい構造にあります。
中央値面積を坪換算し、規模の観点で並べます。
| エリア | 貸し工場 中央値面積 | 坪換算 |
|—|—|—|
| 八尾市 | 66.1㎡ | 約20.0坪 |
| 東大阪市 | 79.0㎡ | 約23.9坪 |
| 大阪市生野区 | 80.0㎡ | 約24.2坪 |
| 門真市 | 83.0㎡ | 約25.1坪 |
| 大阪市平野区 | 94.2㎡ | 約28.5坪 |
| 尼崎市 | 104.4㎡ | 約31.6坪 |
| 大阪市西淀川区 | 166.0㎡ | 約50.2坪 |
| 堺市 | 247.4㎡ | 約74.8坪 |
東大阪・八尾・生野といった中河内〜大阪市東部は中央値20〜24坪の小区画が主軸で、町工場・金属加工・部品製造などの中小事業者の受け皿になっています。一方、西淀川区(約50坪)や堺市(約75坪)は中央値面積が大きく、まとまった床を要する事業者向けです。同じ「坪単価」でも、東大阪で必要総額が抑えやすいのは、単価だけでなく標準区画が小さいことも効いています。
第一に、東大阪は「価格の基準点」です。工場坪5,414円は主要8エリアの中位で、しかも成約83件という圧倒的なサンプル量を背景に持ちます。相場が薄いエリアの数値は数件の特殊事例で歪みますが、東大阪の数値はブレが小さく、関西の工場賃料を語るうえでの物差しになります。
第二に、用途地域は準工業地域が実質的な標準です。ランキング上位8エリアのうち7エリアで最多用途地域が準工業地域でした。準工業は工場・倉庫・住宅が混在できる地域で、関西の産業用賃貸市場は準工業を中心に回っていることが確認できます(例外は工業地域が最多の西淀川区)。
第三に、倉庫と工場の価格差は立地の性格で決まることです。門真・尼崎のように工場需要が強いエリアでは工場が倉庫を大きく上回り、生野・堺のように倉庫の汎用需要が勝るエリアでは逆転します。「工場だから高い/安い」ではなく、エリアの産業構造を読むことが賃料判断の核心です。
借り手が東大阪の貸し工場・賃料相場を実務に落とすなら、次の3軸で募集物件を評価してください。
判断軸①:坪単価が中央値5,414円から大きく上振れしていないか。募集坪単価が7,000円を超えるなら、設備・立地に明確な上乗せ理由があるかを確認します。理由が説明できないなら指値交渉の余地があります。
判断軸②:面積が事業規模に合っているか。東大阪の標準は約24坪です。それより大きい床を借りると総額が跳ね、小さすぎると増設リスクを抱えます。中央値面積を基準に、将来の生産計画から逆算しましょう。
判断軸③:用途地域と業種の適合。東大阪の主力は準工業地域です。騒音・振動・排水を伴う工程がある場合、準工業で操業可能かを用途地域と条例で必ず確認します。単価が安い物件が、実は用途制限で自社工程に使えないケースは珍しくありません。
戦略①:募集賃料を中央値から逆算して設定する。周辺の募集賃料を参考にすると、空室が長い高値物件に引きずられがちです。東大阪の工場は成約中央値5,414円/坪。ここから自物件の築年・設備・接道で加減すれば、成約しやすい価格に着地します。
戦略②:工場プレミアムを取りこぼさない。東大阪は工場が倉庫を+255円上回ります。倉庫として貸すか工場として貸すかで坪単価が変わるため、電源・天井高・搬入動線など工場性能を明示して募集することで、単価を積み上げられます。
戦略③:小区画のまま貸すか、統合するかを判断する。東大阪の標準は約24坪です。大型床を保有している場合、分割して小区画で複数テナントに貸すほうが、坪単価・稼働率ともに有利になる可能性があります。逆に大区画需要のある西淀川・堺エリアとは戦略が異なる点に注意してください。
– 東大阪の貸し工場・賃料相場は成約83件ベースで中央値・坪5,414円/月、相場は横ばいで安定
– 主要8エリアの中位に位置し、賃料と供給量のバランスが良い「探しやすいマーケット」
– 工場は倉庫より坪単価が約5%高いが、東大阪の工場プレミアムは+255円と穏やか
– 標準区画は中央値約24坪で、中小の町工場・加工業の需要が主軸
– 用途地域は準工業地域が実質標準。業種適合の確認が必須
借り手の方は、まず希望エリア・面積で実際の募集物件を確認し、成約相場と照合してから内見・交渉に進むのが最短ルートです。オーナー様は、保有工場の想定賃料を実成約データで裏付けたうえで募集条件を組み立てましょう。にっぽん倉庫(関西版)では、東大阪をはじめ関西2府の貸し工場・貸し倉庫を種別・エリア・面積で検索できます。物件をお探しの方は物件一覧から、賃料の見直しを検討中のオーナー様は査定のご相談から、それぞれお進みください。
一般社団法人にっぽん福福
代表理事
福本 浩一
3歳の頃に両親が離婚し、母親のもとで妹と3人で暮らす。その後、母方の祖父が経営するバッティングセンターで幼少期よりお手伝いをする。
その頃に祖父から『子どもは宝』と教えてもらい地域の子ども達に喜ばれる貢献活動をすることの大切さを学ぶ。
大学卒業後、大手不動産会社へ入社。不動産業を学んだ後に、祖父の経営する会社へ入社。同時に青年会議所に入会する。
青年会議所で社会貢献や地域貢献について学び、祖父の経営する会社でも営業の傍ら社会貢献や地域貢献活動に尽力する。
社会貢献活動を通じて「他の企業にも社会貢献の重要性を広めたい」「社会貢献が当たり前」な社会を実現したいと考え、一般社団法人にっぽん福福を設立する。
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