
REINS(不動産流通機構)の関西2府成約データ1,994件を集計したところ、東大阪市の倉庫賃貸の成約件数は144件で関西最多となりました。これは関西全体の7.2%が東大阪市1市に集中している計算で、2位の尼崎市86件を1.7倍引き離す結果です。
本記事では、東大阪市が「なぜ関西最大の倉庫集積地となっているのか」「兵庫主要3エリア(尼崎・伊丹・姫路)と比べて何が違うのか」を、坪単価・建物規模・築年・用途地域の4軸でデータ解析します。借り手企業の業種別エリア選びと、オーナー様の運用戦略まで、実務で使える判断材料を提示します。
REINSに登録された2023年〜2026年4月までの関西の倉庫成約データを市区町村別に集計したところ、東大阪市が144件で断トツの最多となりました。
| 順位 | 市区町村 | 倉庫成約件数 | 構成比 |
|---|---|---|---|
| 1 | 東大阪市 | 144件 | 7.2% |
| 2 | 尼崎市 | 86件 | 4.3% |
| 3 | 姫路市 | 79件 | 4.0% |
| 4 | 伊丹市 | 27件 | 1.4% |
東大阪市の人口は約48万人、尼崎市は約45万人で大差ないにもかかわらず、倉庫の成約件数では1.7倍の差が出ています。この差は人口比では説明できず、東大阪市が「ものづくりの街」として中小製造業の集積を戦後一貫して維持してきた歴史と、後述する用途地域構造に深く関係しています。
成約件数の多さは、借り手にとっては選択肢の豊富さを、オーナーにとっては競争のある流動性の高い市場を意味します。東大阪市の倉庫賃貸を検討する際は、まずこの市場の厚みを前提に置くことが出発点となります。
東大阪市は中小製造業の集積で全国的に知られる工場の街でもあります。関西エリア全体の工場賃料相場については「関西の工場賃料相場は最大2.1倍の差|REINS成約346件で見る大阪・兵庫の坪単価マップ【2026年版】」で詳しく分析しています。
東大阪市と兵庫県側の主要3市(尼崎・伊丹・姫路)を並べると、それぞれのエリアの性格が浮き彫りになります。
| 都市 | 件数 | 坪単価中央値 | 建物面積中央 | 築年中央 | 主用途地域 |
|---|---|---|---|---|---|
| 東大阪市 | 144 | ¥5,159 | 109㎡ | 46年 | 準工業 |
| 尼崎市 | 86 | ¥5,895 | 50㎡ | 31年 | 準工業 |
| 姫路市 | 79 | ¥3,364 | 74㎡ | 40年 | 第二種住居 |
| 伊丹市 | 27 | ¥9,153 | 7㎡ | 34年 | 第一種中高層住居 |
このデータから読み取れる4市の性格は以下の通りです。
東大阪市は4市の中で唯一「中規模(109㎡)・準工業地域・築古」の三条件が揃ったエリアです。事業用倉庫の標準像と言える物件が最も多く取引されています。
尼崎市は建物面積中央値50㎡と東大阪の半分以下で、都市部の小型倉庫が中心です。坪単価¥5,895は東大阪より14%高く、「狭くて高いが立地が良い」配送拠点型の市場です。
姫路市は坪単価¥3,364と4市中最安ですが、主用途地域が第二種住居地域で住宅地隣接が多く、用途制限がかかりやすい構造です。
伊丹市の建物面積中央値7㎡という極端な数値はトランクルームやコンテナ型小型保管庫が成約データの大半を占めることを意味します。坪単価¥9,153は規模効果(小型ほど坪単価が高くなる)を強く反映した結果で、事業用倉庫の参考にはなりにくい市場です。
東大阪市の倉庫賃貸が関西最多の理由は、この比較で明確になります。「中規模・準工業・実用性」という事業用倉庫の基本要件を満たす物件のストックが、関西で最も厚いエリアだということです。
本記事の数値は、REINS(不動産流通機構)に登録された関西2府(大阪府・兵庫県)の倉庫成約データ1,994件を独自集計したものです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| データソース | REINS(公益財団法人 西日本不動産流通機構) |
| 対象期間 | 2023年1月〜2026年4月 |
| 対象エリア | 大阪府全域(1,494件)+兵庫県全域(500件) |
| 物件種別 | 倉庫(事業用倉庫業の倉庫を含む) |
| 取引種別 | 賃貸借契約成立分のみ |
| 集計指標 | 坪単価中央値(月額)、建物面積中央値、築年中央値、用途地域分布 |
| 信頼性ランク | 成約n≥10のエリアのみランキング掲載(n<10は参考扱い) |
中央値を主軸に採用した理由は、坪単価が市場分布の歪み(極端な高価格・低価格物件)に影響されやすいためです。平均値も併記していますが、エリアの実勢を語る際は中央値で判断するのが実務的です。
なお、本記事で使用する用途地域の略称は都市計画法に基づく略号です(準工=準工業地域、一住=第一種住居地域、二住=第二種住居地域、一中=第一種中高層住居専用地域、工業=工業地域)。
東大阪市の倉庫成約144件を建物面積別に分解すると、需要のボリュームゾーンが明確になります。
| 建物面積 | 件数 | 坪単価中央値 | 平均坪単価 |
|---|---|---|---|
| 50㎡未満 | 19件 | ¥5,498 | ¥8,265 |
| 50〜100㎡ | 43件 | ¥5,251 | ¥5,286 |
| 100〜300㎡ | 40件 | ¥4,926 | ¥5,371 |
| 300〜1,000㎡ | 22件 | ¥4,772 | ¥4,917 |
| 1,000㎡超 | 12件 | ¥4,988 | ¥4,596 |
最多ボリュームは50〜100㎡帯(43件)、次いで100〜300㎡帯(40件)です。**この2帯で全体の58%**を占めており、東大阪市の倉庫賃貸の主戦場は50〜300㎡の中規模物件であることが定量的に裏付けられています。
注目すべきは、1,000㎡を超える大型倉庫でも12件の成約があり、坪単価¥4,988と大きく下落していない点です。一般的に「規模が大きいほど坪単価は下がる」のがセオリーですが、東大阪では大型でも一定の需要があり、価格が崩れていません。これは大手物流業者・製造業の本格的な物流拠点としての需要が、地元中堅企業の中規模倉庫需要と併存していることを示唆します。
50㎡未満帯の平均坪単価¥8,265が突出して高いのは、駅近の超小型倉庫や立地特化の高単価物件が含まれているためで、中央値¥5,498との乖離はその影響です。
東大阪市の倉庫ストックは「築古」が圧倒的多数です。
| 築年帯 | 件数 | 構成比 | 坪単価中央値 |
|---|---|---|---|
| 築5年以内 | 3件 | 2% | ¥7,552 |
| 築6〜15年 | 2件 | 1% | ¥8,259 |
| 築16〜30年 | 11件 | 8% | ¥7,084 |
| 築31〜50年 | 60件 | 42% | ¥5,148 |
| 築50年超 | 48件 | 33% | ¥4,738 |
| 不明 | 12件 | 8% | ¥5,724 |
**築31年以上の物件が108件で全体の75%**を占めます。築5年以内の新築物件はわずか3件で、坪単価¥7,552と高単価です。築年と坪単価には明確な逆相関があり、築古ほど坪単価が下がる構造が見て取れます。
この築年構造は、東大阪市が高度経済成長期から1990年代までに集中的に倉庫・工場ストックを形成してきた歴史を反映しています。逆に言えば、築古を許容できる業種・用途であれば、東大阪は坪¥4,700〜5,200の予算感で関西最大の選択肢を享受できるエリアです。
築古物件のリスク(耐震性・設備老朽化)は個別物件ごとの確認が必要ですが、市場全体としては「築古=不利」ではなく、「築古=実勢価格帯」という認識で物件選定に臨むことが東大阪の特徴です。
倉庫を借りる際、坪単価や面積以上に重要なのが用途地域です。東大阪市の倉庫成約144件の用途地域を集計すると、以下のようになります。
| 用途地域 | 件数 | 構成比 |
|---|---|---|
| 準工業地域 | 31件 | 22% |
| 第一種住居地域 | 26件 | 18% |
| 工業地域 | 25件 | 17% |
| 第二種住居地域 | 7件 | 5% |
| 商業地域 | 5件 | 3% |
| その他 | 50件 | 35% |
**「準工業」と「工業」を合わせると56件、全体の39%**を占めます。これに準住居や近隣商業を加えると、事業用利用に親和的な地域が過半を占める計算です。
準工業地域は、都市計画法で「環境悪化のおそれのない工業の利便を増進するため定める地域」と定義されており、以下の特徴があります。
製造業や物流業にとって、準工業地域はほぼ「倉庫業務のために設計されたエリア」と言えます。東大阪市の倉庫賃貸の22%がこの準工業地域に集中していることは、東大阪が事業用倉庫の本命エリアであることを数値で裏付けています。
兵庫3市と比較すると、尼崎市の準工業地域は9件、姫路市は第二種住居が8件、伊丹市は第一種中高層住居が14件と、いずれも東大阪の準工業31件には及びません。事業用倉庫として用途地域上の制約が少ない物件が豊富にあることが、東大阪の最大の構造的優位性です。
1,994件の集計結果から、東大阪市の倉庫市場には3つの構造的特徴が浮かび上がります。
「中規模(50〜300㎡で58%)×準工業地域(22%)×築古(築31年以上で75%)」の三条件が同時に成立している市場は、関西では東大阪市以外にありません。尼崎は小型寄り、姫路は住居地域中心、伊丹は超小型特化で、いずれも事業用倉庫の標準像から外れています。
1,000㎡超の大型倉庫でも坪単価¥4,988で12件の成約があり、規模効果による価格下落が起きていません。これは大手物流業・製造業の本格的物流拠点としての需要と、地元中小企業の中規模倉庫需要が併存している結果です。需給バランスが整った成熟市場の特徴と言えます。
直近4年の坪単価推移を見ると、2023年¥5,220→2024年¥5,312→2025年¥5,046→2026年¥4,952と、¥4,952〜¥5,312のレンジで横ばい〜微減で推移しています。全国的に物流不動産価格が上昇傾向にある中で、東大阪は価格安定性で突出しています。借り手は長期賃貸の予算計画が立てやすく、オーナーは適正価格での安定運用が可能な市場構造です。
東大阪市の倉庫賃貸を検討する借り手企業向けに、業種別の判断軸を3つ提示します。
東大阪市の倉庫賃貸は、創業期の超小型ニーズを除き、中規模以上の事業用倉庫を探す関西の企業にとってほぼ全ての判断軸で第1選択肢に入ります。
東大阪市で倉庫を保有・運用するオーナー様向けに、データから導かれる3つの戦略を提示します。
築31年以上が75%を占める東大阪市場では、「築古=不利」という前提は通用しません。坪¥4,700〜5,200の市場実勢に合わせた適正価格で募集すれば、3か月以内の成約が現実的です。築古を理由に過度に値下げするより、用途地域・搬入動線・床荷重などの事業用スペックを明示したほうが反響率が高まります。
準工業地域・工業地域の物件は、住居系地域の物件と比べて使い方の制約が圧倒的に少なく、結果として借り手層が広くなります。物件PRでは坪単価・面積だけでなく、用途地域を必ず明記すべきです。準工業地域なら「24時間稼働可・大型車両出入り可」、工業地域なら「重量物・騒音発生業務可」といった具体的な使い方を文章化することで、検索からの反響質が大きく上がります。
50〜100㎡帯は年間14件前後の成約があり、需要が安定しています。退去発生時の埋め戻しは比較的容易です。一方、1,000㎡超は年間3〜4件と少なく、退去のタイミングと借り手探索の期間を慎重に設計する必要があります。大型物件は退去予告期間中に積極的に募集を開始し、空室期間を最小化する運用が求められます。
東大阪市の倉庫賃貸市場は、適切な戦略を組めばオーナーにとって安定収益が見込める成熟市場です。
REINS成約データ1,994件の分析から、東大阪市の倉庫賃貸を検討する際の要点は以下の5つです。
製造業・物流業を中心に関西で事業用倉庫を本格的に構える場合、東大阪市の倉庫賃貸は最有力の検討対象です。
「にっぽん倉庫 関西版」では、東大阪市をはじめとする関西全域の倉庫・工場物件を掲載中です。希望条件に合う物件のお問い合わせ・現地見学は、サイト上のフォームから24時間受付しております。物件売却・賃貸募集をご検討のオーナー様も、無料査定からお気軽にご相談ください。
※本記事のデータはREINS(不動産流通機構)の関西2府(大阪府・兵庫県)における2023年〜2026年4月までの倉庫成約データ1,994件を独自集計したものです。掲載数値は中央値・平均値による集計であり、個別物件の賃料・条件を保証するものではありません。
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一般社団法人にっぽん福福
代表理事
福本 浩一
3歳の頃に両親が離婚し、母親のもとで妹と3人で暮らす。その後、母方の祖父が経営するバッティングセンターで幼少期よりお手伝いをする。
その頃に祖父から『子どもは宝』と教えてもらい地域の子ども達に喜ばれる貢献活動をすることの大切さを学ぶ。
大学卒業後、大手不動産会社へ入社。不動産業を学んだ後に、祖父の経営する会社へ入社。同時に青年会議所に入会する。
青年会議所で社会貢献や地域貢献について学び、祖父の経営する会社でも営業の傍ら社会貢献や地域貢献活動に尽力する。
社会貢献活動を通じて「他の企業にも社会貢献の重要性を広めたい」「社会貢献が当たり前」な社会を実現したいと考え、一般社団法人にっぽん福福を設立する。
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